開催概要/Overview

 

自然科学研究機構先端光科学研究分野プロジェクト研究会のお知らせ

放射光の量子性・干渉性に基づく革新的計測手法の探索        

 今年は我が国の放射光研究が始まって60年になるとされ、10月には自然科学研究機構岡崎コンファレンスセンターにおいてこれを祝する国際会議が開催された。第1世代に始まり、第2、第3と続いてきたこれまでの放射光源の発展は、加速器技術の高度化による輝度の向上であった。そして近年、世界各地で建設が計画され一部稼働を始めたものもある次世代光源は「回折限界」を目指している。これは放射光を放出する母体である電子ビームの指向性が単一電子の出す放射光の指向性を上回る状態であり、電子ビーム品質向上による輝度向上が限界に達しつつあることを意味する。放射光の発展の歴史は大きな転換点を迎えつつあると言える。一方、回折限界条件下では放射光は高い空間干渉性を有し、光の波の性質、すなわち可干渉性を露わに示す。レーザー光源が利用可能な可視・近赤外領域では、光の波としての時空間構造や量子もつれに代表される量子性を利用した量子状態制御、量子計測・センシング、超高速分光、超解像顕微鏡、光干渉断層撮像など様々な技術が開発され、基礎学術研究から医療診断まで、幅広い領域で応用されている。しかし放射光分野ではこういった応用例は極めて限られている。

 近年、分子科学研究所の放射光施設UVSORにおいて、比較的波長の長い紫外・真空紫外線領域で回折限界放射光を生成し、放射光波束が本来有する優れた時空間構造の実験的検証やその応用可能性の原理実証が進んでいる。光渦やベクトルビームといった特異な空間構造を持つ放射光の生成、超高速ダブルパルス時間構造を有する放射光波束の生成と利用、また、最近では単一電子からの放射光の観測による単一光子レベルでの時空間構造の実験研究も開始されている。

 このような状況の下、応用展開で先行している光学分野の研究者、UVSORで基礎実験を進めてきた研究者、放射光利用技術の研究者・技術者、さらに新しい手法に興味のある幅広い領域の研究者が一堂に会し、新しい利用手法の開拓や様々な分野への応用展開を議論し展望する研究会を開催する。

 

世話人: 加藤政博(広島大/分子研)、金安達夫(佐賀LS)、岩山洋士(分子研)

 

会議名 : 放射光の量子性・干渉性に基づく革新的計測手法の探索

●開催日時 : 2023年11月17(金),18(土)日

●開催場所 : 自然科学研究機構岡崎コンファレンスセンター小会議室

●参加費 : 無料

※会場の準備の都合がございますので、参加を希望される方は世話人(mkatoh@ims.ac.jp)までメールにてご一報ください。

●主催 : 自然科学研究機構先端光科学研究分野プロジェクト